朝涼の目線

-コーポレート・メモリーについて考える-
今、コーポレート・メモリーについて注目したい。企業が自らの実際の活動を事実の側面と評価の側面で記録し、これらを継承していくというアプローチである。このアプローチは、自身と関係者の活動をありのままに直視する事が前提になる。自らの企業活動(コーポレート・アクション)を直視したうえで、自身と関係者の実像・習性にまでも迫り切り込み、事実の側面での正確な把握を試みる。これにより、今後の自他の行動予測を適切に立てることが出来る。次いで、自他の活動に対し、肯定的評価と否定的評価を加える。この作業から、教訓という資産を獲得し、これを今後の活動に役立てるために継承する事で、コーポレート・アクションの支柱と源泉を構築して行くことが出来る。コーポレート・メモリーの活用は、企業が、今後取組む問題の発見や、その問題への対応方法の創造と確立や、また、企業利益を確実に獲保する具体的な技術の発見と構築に繋げることによって、利益を生み出す強力な知的資産を形成することになる。業績向上と不祥事防止を図るコーポレート・ガバナンスの向上への取組や自主的に企業を規律するための企業行動憲章や内部統制システムの構築・整備等は、企業が置かれている環境や社会的要請を踏まえて行われるのは勿論の事、自らのコーポレート・メモリーに則して行われるものであってこそ、的確に機能し、有効かつ効率的なものになると考える。

平成23年7月11日 vol.5

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